アジア人とは、生まれついての楽観主義者
2009年 03月 13日
3. 「アジア人」とは何者か『自由と繁栄の弧』にも収録されています。読みやすくて美しくて、とても好きな文章です。
だとするとわれわれ、「アジア人」に、今や次のように定義を与えることができるでしょう。
すなわちアジア人とは、生まれついての楽観主義者であります。なんとなればアジア人とは、わずかひと世代にして「量子の飛躍」(quantum leap)を成し遂げた者、偉大なるachiever(達成者)だからにほかなりません。
われわれはみな、英語で言うrags to riches、すなわちぼろ布を捨て、富を手に入れたサクセスストーリーの体現者です。見回してもみましょう、世界のどこに、たったの30年でこれだけの距離を、これほどの速度で駆け抜けた人々がいるでしょうか。
今やアジアとは、世界中で最も活発な交易ネットワークの別名です。またアジアは今なお、世界で最も豊かな貯蓄の源であり続けています。
1人当たりGDPを見ますと、例えばASEAN主要国ではどこも皆、この30年の間に3倍から6倍にも伸びました。
だとするならばアジアとは、伸び行くミドルクラスの集合体です。アジア人とは、面を上げ、常に前を向いて歩む人々の別称なのです。
もしかすると経済以上に大切なことには、この間に、アジア人はある精神的革命を遂げました。それは、アジア人が、アジア人自身を美しいと、心から思い始めたことです。
クアラルンプールの少女、北京の少年、ハノイの中学生やジャカルタの高校生は、もはやアイドルをハリウッドのつくる銀幕だけに求めはしません。新しいファッションのインスピレーションを、パリにだけ求めようとはしなくなりました。近代史上初めて、アジア人のアジア人による、アジア人のためのスターが生まれ、流行が作られて、旺盛に消費されています。
We are beautiful...アジア人は口に出す出さないはともかく、今やそんなふうに思っております。そしてそれを、歌に託します。アジアはUnited States of Karaokeでありますから、カラオケで声を張り上げるわけです。歌うのは日本の歌だったり、韓国の歌だったり。わたくしどもの若い時分のように、アメリカの歌ということはあまりなくなりました。ちなみにカラオケと言えば、この偉大な発明が日本で最初にブームを起こしたのが、ちょうど1976年、77年辺りのことでした。つまりこれまた、近々(きんきん)30年の流行だったわけです。
どうです皆さん、30年を経て、今日「アジアン・ドリーム」を共に夢見る時代が訪れました。わたしたちの、わずかにひと世代の飛躍が、わたしたち自身をここまで連れて来たのです。
外務省/平成18年5月26日「ネットワーク型アジア」の未来を構想する
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