グローバル・インバランスの問題
2009年 07月 11日
オーストラリア連邦のケビン=ラッド首相と麻生太郎総理大臣。(Getty Image)
(問)
国際的な貿易の不均衡、これが世界経済の不安定の要因だといわれているが、G8という限られたメンバーで、この貿易不均衡という問題に対応することができるとお考えか。
(麻生総理)
すごくいい質問です。今次金融危機の根底には、資金のフロー、つまり資金の流動性の偏在の問題があります。これを放置すると、国際金融システム、さらには国際通貨システムが不安定化するリスクが継続する、ドル安がずっとつづくとか、そういった状況になりかねない。これを是正するために、少なくとも世界的な経常収支の不均衡、いわゆる「グローバル・インバランス」の問題に取り組まなければならない旨、ワシントンのG20の時から私から繰り返し強調してきたところです。(引用者 参考:2008/11 危機の克服-短期、中期、長期の対策- 麻生太郎の提案 (PDF))具体的にどうするかといえば、先ほども述べたように、米国の過剰消費の抑制、他方、中国を始めとした、輸出で成長を図っている新興国が、輸出だけに頼らず自国の内需を喚起する政策に転換してもらわなければならない、難しい言葉で言えばマクロ経済構造のバランス調整というものが必要であることを、今次サミットにおいても強調したところです。今回は、「G8首脳宣言」のみならず、「G8プラス5」との間で合意した宣言などにも、そのような認識が明確に示されました。これは、今次の会合の、きわめて重要な成果の一つであると考えています。こうした認識に沿って、今後、関係国が適切な行動をとることを、期待しています。
ただ、米国が内需を抑制するということは、事実、米国は貯蓄性向が以前はマイナスだったのが、最近は5%になって、更に上がっていくという風に言われています。逆に言えば、米国のバランスはよくなるかもしれないが世界経済には直ちにプラスにはならない、両方を考えなければならないのであって、これらのバランスが一番難しいと考えています。
首相官邸HP/7月10日 ラクイラ・サミット 内外記者会見
◆首相官邸HP/麻生総理の動き ラクイラ・サミット(前日)(第一日)(第二日)(第3日)
◆外務省/麻生総理大臣のG8ラクイラ・サミット出席(イタリア訪問)
◆G8 Official web site
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